「水道水はアトピーに良くないらしい、、、」
このようなことを聞いたことはありませんか。
料理、飲用水、入浴など、水は私たちの生活には欠かすことができません。しかし、私たちが普段使用している水道水にはアトピーにとって有害となることがあります。
日本は水道から常に清潔な水が利用できる貴重な国ですが、この水道水を清潔に保つために使用されている物質がアトピーには害になりことがあります。その物質が「塩素」です。
このページでは、水道水がアトピーを悪化させてしまう理由について詳しく説明していきます。
目次|このページでわかること
水道水に含まれる「塩素」が元凶
冒頭にも述べたように、水道水はアトピーとって悪影響を及ぼすことがあります。その原因が水道水に含まれている「塩素」です。
私たちは普段何気なく水道から清潔で安全な水を得ていますが、これは世界的に見れば稀なことです。日本以外では清潔な水道水が普及していないため細菌などが繁殖している水が供給されている国が多いです。そのため、日本人が外国でうっかり水道水を飲むとお腹を壊したりしてしまうことがあります。
日本の水道ではこのようなことが無いようにしっかりと浄水・殺菌された水が供給されています。この時に使用されている物質が「塩素」です。
塩素にはとても強力な殺菌作用・タンパク質分解作用があり、これによって、病原菌が水中で繁殖するのを防いでいます。
しかし、この作用は返って害にもなります。塩素の作用は私たちの肌や粘膜の細胞を破壊してしまったり、その殺菌作用によって、後述する人体にとって有益な働きを持つ菌をも殺菌してしまうのです。そのため、アトピーの肌にとっては有害になってしまいます。
日本の水はとても清潔で有名ですが、反面、水道水に含まれる塩素濃度も世界一なのです。
水道水に含まれる塩素には強い殺菌力・細胞破壊作用があるため、アトピーの肌には害になる
塩素がアトピー与える悪影響についてより詳しく見ていきましょう。
肌にダメージを与える
すでに述べているように、塩素には強い殺菌力とタンパク質の分解作用があります。この作用はアトピーの肌にとって害となります。
私たちの肌の表面は「角質」という薄い膜状の細胞が何層にも重なって覆っています。この幕はとても強固なタンパク質でできており、健康であれば水の分子や細菌のような小さなものも通しません。言うなれば天然のバリアです。これによって私たちの体を細菌やアレルゲンなどの有害な物質から守っています。
しかし、水道水に含まれる塩素には先述のようにタンパク質を分解し、細胞を破壊する作用があります。そのため、肌のバリア機能が壊されてしまい、有害な物質の侵入を許してしまいます。すると、侵入してきた有害物質に免疫細胞が反応することによって、炎症が悪化しかゆみが発生するのです。当然皮膚の治りも遅くなります。
また、塩素の殺菌力によって、皮膚上の菌が殺菌されてしまいます。
私たちの皮膚には、多くの菌が生息していますが、その中には有害な菌の繁殖を防いで肌を守ってくれている「有益菌(善玉菌)」も存在します。これらの菌が生息していることで私たちは感染症から守られています。これらの有益菌も有害な細菌に対してのバリアであると言えます。
水道水の塩素によって、これらの菌が殺菌されてしまうと、後々、有害菌が繁殖しやすくなってしまいます。すると、それらの有害菌が、塩素によって破壊された肌バリアを通り抜けて体内に侵入します。これによって、かゆみが強くなったり、感染症を併発してしまったりするのです。
このように、水道水にはアトピーの肌にとって返ってダメージを与える作用があるのです。
水道水の塩素によって肌のバリア機能が破壊されてしまう。
腸内環境にもダメージを与える
さて、ここまで、アトピーの肌にとって水道水が害になる理由について説明してきました。ただ、これは直接肌に触れる場合、入浴やシャワー、洗い物をする時の話です。では、これを飲み水として考えた場合はどうでしょう。
当然、飲み水として利用した際にも悪影響があります。人によっては飲むほうがアトピーを悪化させるかもしれませせん。
塩素によるアトピーへの影響で、最も無視できないものが腸内環境へのダメージです。
第一に、腸は食物などから栄養を得るための器官であると同時に、アレルゲンなどの有害物質の侵入を防ぐ働きもある器官です。
水道水をそのまま飲むことによって、腸の壁面の細胞が壊され体内に異物が侵入しやすくなります。すると、そこから侵入して体内を巡った異物が免疫細胞に攻撃されることによって皮膚に炎症やかゆみが生じるようになるのです。
腸は、私たちの体にとって有益なものを取り入れ、有害なものは弾くセキュリティーのようなものです。この腸が健康であれば、有益な物のみを体内に通し、有害な物質の侵入は防いでくれます。塩素によってこのセキュリティーが破壊されてしまうことで、アトピーにとって有害な物質の侵入を許してしまうのです。
また、塩素の害としてもう一つ、腸内の善玉菌を殺してしまい腸内環境を悪化させてしまうということがあります。これによって、免疫機能に乱れが生じることになります。
私たちの腸は体内の免疫細胞のうち、約7割が集中しており「人体最大の免疫器官」とも呼ばれています。腸内環境が良好な状態であれば、これらの細胞がアトピーの炎症を抑えるように働いてくれるのです。腸内環境を良好にするのは善玉菌の力です。水道水に含まれる塩素によって、この善玉菌が被害を受けてしまい腸内環境が悪化してしまいます。すると、炎症体質を抑える免疫細胞が働かなくなり、アトピーを悪化させてしまうのです。
このように、水道水は飲み水として使用した場合もアトピーにとって害を及ぼしてしまうのです。
免疫バランスを整えるために重要な腸内環境が悪化してしまう。
水道水を無害化する方法
さて、ここまでの説明で水道水がアトピーにとって害になるということがお分かりいただけたかと思います。しかし、「おいおい、そんなこと言ったら水が使えないじゃないか」と思う方もいるでしょう。
そこで、水道水をアトピーの方でも無害な状態にする方法について説明していきます。
水道水を沸騰させてから使用する
まず1つ目として、「水道水を沸騰させる」ということが挙げられます。
水を沸騰させることによって、水中の塩素は、「トリハロメタン」という物質になって気化され抜けていきます。
これによって、水道水の塩素を抜くことができます。約10分ほど沸騰させ続けることがポイントです。
やかんで沸騰させたり、もし、「カルキ抜き」機能のついた電気ポットを持っているならばそちらを使用してもいいでしょう。
水道水を沸騰させることによって、アトピーに有害な塩素を除去することができます。ついでに言うと水自体の臭いや味も良くなります。
沸騰させることで、有害な塩素取り除くことができる。
ビタミンC(アスコルビン酸)を使用する
先に説明した、水を沸騰させる方法は飲み水や、調理などで行う方法です。
入浴など、大量の水を使用する場合、そのようなチマチマした方法では歯がたちません。そこで、入浴の際には湯船に張ったお湯にビタミンCを入れるといいです。
「え??ビタミンC???」と首をかしげた方も多いでしょう。しかし、ビタミンCには水道水に含まれる塩素を取り除く作用があります。どういうことかと言うと、ビタミンCと水中に含まれる塩素が酸化還元反応を起こして、塩素を中和してくれるのです。
ちなみに化学式は下記の通りです。
【塩素中和の化学式】
C6H8O6 + NaClO → C6H6O6 + H2O + NaCl
(ビタミンC(アスコルビン酸)+次亜塩素酸→酸化ビタミンC+水+塩(塩化ナトリウム))
この場合、ビタミンCのサプリメントでもなんでも構いません。また、ネットや薬局などで「アスコルビン酸」と探せば見つけることができます。大まかにですが、一般家庭の浴槽(150ℓ~200ℓ)に対し、0.2gほどの量で効果を得ることができます。
このように、ビタミンCには水道水の塩素を無害化する作用があります。
また、塩素除去の機能があるシャワーヘッドというものがありますので、自宅のシャワーはこれに取り替えるといいです。シャワーヘッドならば、浄水器に比べてとても安価で、フィルター交換なしで2ヶ月ほどは保ちます。
ビタミンCを入れることで塩素を中和して無害化することができる。
水道水にはほぼ確実に入っている塩素ですが、上記のようなひと手間を加えることで、アトピーの肌の人でも安全に使用することができます。ただし、このようにして塩素を取り除いた場合注意点があります。それは、細菌が繁殖しやすくなるということです。
そのため、塩素を除去した後は、その水をすぐに使用するように心がけてください。
お財布が許すならウォーターサーバーもあり
アトピーでも安全な飲み水を得る方法として、もしもお財布が許すならば、「今は」天然水のウォーターサーバーも有りだと私は思います。
なぜ、「今は」と付けたのかというと、少し前のウォーターサーバーは「RO水」という人工の水がほとんどだったからです。「RO水」は水道水などを「RO膜」というとても目の細かいフィルターを通すことで濾過し、不純物を取り除いた水のことです。そのため、「清潔ですよ」「赤ちゃんでも安心ですよ」ということが売り文句でした。
しかし、これは、なんでもかんでも濾過して販売しているため、元の水の得体が知れないということがあります。一応、安全上は問題ないとは思うのですが、なんとなく抵抗感があります。また、不純物を限りなく取り除いてしまうということは、水に含まれている「ミネラル」まで取り除いてしまうことになります。
ミネラルは、体内で血液を作るのを助けたり、免疫システムを正常に保ったり、皮膚の再生を早めたりと、アトピーの方にとって有益な成分なのです。そして、往々にしてアトピーの方にはこのミネラルが不足しがちです。そのような中、水は重要なミネラルの補給源なのです。
このように、以前は「RO水」が主流だったのですが、最近は探してみると、採取した地名まで明確な「天然水」を届けてくれるウォーターサーバーのサービスが多くあります。
私は、小学生でアトピーと格闘していた頃、母が「天然水がアトピーにいいらしい」という情報を仕入れてきて、ある山奥まで家族で出かけて、車のトランクにいっぱいになるほどのポリタンクで、天然の湧き水を汲みに行っていたことがあります。
その水を飲用水とすることで確かにある程度の症状の軽減がありましたが、今になってあの労力に見合うものだったかと思うと、少し疑問です。当時の私に決済権があって、かつ天然水のウォーターサーバーがあったら、そっちを選択していたと思います。
下記に私が調べた、天然水のウォーターサーバーのサービスを記します。
私は単身で平日はほぼ家に居ない生活をしているためコスパが悪く利用していませんが、もし私ならばこれを選ぶだろうという視点でいくつか候補をあげてみました。よろしければ参考にしてください。
ただ、経済的に無理が生じるようならば、無理して使うほどのものではないかと思います。
まとめ
日本は水道水から清潔で健康に使える水が供給されている数少ない国です。それはとてもありがたいことです。しかし、このように水道水を清潔に保つために使用されている「塩素」はアトピーの方にとって悪影響を及ぼします。
そのため、アトピーの方は水道水をそのまま使用することは避ける方が賢明です。
私の出身は茨城県で実家に住んでいる時は、井戸水を使用していたため、この塩素の影響についてほぼ無関心でした。しかし、大学卒業後に東京に上京すると、当然ながら水道水を使用することになります。
最初のうちは、「入浴後に肌が突っ張るなぁ」くらいの感覚でしたが一ヶ月くらいが経つと皮膚にアトピーの炎症が現れるようになってしまいました。以降、風呂のには塩素除去のシャワーヘッドを設置して、そこからお湯を張るようにしたり、飲み水には浄水器を使用するようになりました。そのようにしてからは、水でアトピーが悪化するということはなくなりました。
アトピーの方にとって水道水は害になることがあります。アトピー肌で悩むのならば是非この方法を実践してください。