アトピーと言えば一般的には「痒い」ということが特徴であると思われています。
しかし、アトピーを経験した一人として個人的な意見を言うと、かゆみそのものよりも、掻いてしまった後の痛みの方が辛かった記憶があります。
痒さで引っ掻いてしまったあとはヒリヒリと痛みますし、グチュグチュになってしまった肌が空気に触れることも痛いです、乾燥で肌が突っ張と首や関節を曲げることすら難しいです。
ひどい時は、痛みで布団から出ることもできません。 このような状態であると、仕事や日常生活を送ることも難しくなります。
そして、残念ながら「これをすればすぐに解決!!」とはならないのです。
ただ、学生であれば、最悪休学という手段が取れますが、社会人であると、長期間仕事を休んで療養するのは難しいでしょう。
私自身、会社に務めている状況でアトピーが悪化してしまい、とても辛い時期がありました。
このページでは、私がこのような状況の時にどのようにして、対処していたかを紹介していきます。
目次|このページでわかること
基本は炎症の部分が空気などに触れないようにふたをすること
冒頭でも書いたように、アトピーの一番のツラさは「痒み」ではなく「痛み」だと私は思います。
アトピーが悪化すると、痛みで布団からも出られず動くこともままなりません。
このような痛みの対処法として、私はとにかく「空気に触れないように蓋をする」ということを考えていました。
皮膚は、自分の内側と外側を分けるバリアです。アトピーなどの炎症によってこのバリアが崩れてしまうことで、空気や汗などが触れるだけで痛みを感じてしまうのです。普通の怪我や火傷を負った場合も同じだと思います。怪我をしている部分に水や汗が入れば沁みますし、火傷で爛れた皮膚が空気に触れれば痛くて仕方がありません。
そのため、この崩れたバリア(皮膚)の機能を補ってバリアを補修することが対症療法として有効なのです。
今思い返して、当時私が行っていたことは主に下記の通りです。
【アトピーの痛み対して私が行っていたこと】
- ワセリン系の保湿剤で皮膚上に膜を作る
- 包帯やガーゼなどで保護する
- 天然繊維のシャツを着て体全体を覆う
まずは、ワセリン系の保湿剤で膜を作る
まずは、保湿剤で傷ついた皮膚を保護することです。
保湿剤は、その性質によっていくつかの種類がありますが、その中に皮膚の上に油の膜を作って水分の蒸発を防ぐというものがあります。その代表的な保湿剤が「ワセリン」です。
このタイプの保湿剤を塗ることで傷ついた皮膚の代わりとするのです。乾燥が強い時や、皮膚ジュクジュクしてしまって空気に触れるのも痛い時は、これだけでもとても楽になります。
火傷をしてしまった時も、軟膏を塗って痛みを和らげることがあると思います。この「軟膏」はワセリンのような油系の成分のベースの中に薬用成分を混ぜたもので、炎症を抑える以外に、皮膚上に膜を作って皮膚の代わりをする役割もあるのです。
包帯やガーゼなどで保護する
アトピーの炎症が比較的軽い場合は、保湿剤だけでも痛みを和らげることができます。
しかし、炎症がひどすぎてしまった場合、保湿剤で作る膜だけでは我慢できないです。
このような時に、何かで傷ついている皮膚の部分を塞いであげれば、痛みは緩和されますし、患部が覆われていることで安心感を得ることもできます。
例えば、包帯やガーゼなどです。
炎症の度合いや、部位によって適した方法が少し違うので、ぞれぞれ説明していきます。
腕や足であれば包帯で覆う
腕や足などの炎症でああれば、包帯を巻いて空気からシャットアウトするのがいいでしょう。
包帯であれば、巻き方によって患部の面積や通気性などを調節することができます。
この時には伸縮性の包帯を使用するといいでしょう。伸縮しないタイプの包帯を巻くと圧迫しすぎて血の巡りが悪くなったり、包帯を取った時に急に血流が良くなるため痒くなってしまったりします。
また、包帯は開封した状態であると、糊や殺菌剤などが付着しており、そのまま使用すると人によってはアトピーを悪化させてしまうこともあります。そのため、包帯を使用する時は、一度水洗いして柔らかく揉んでから使用するようにしましょう。
なお、最近は包帯同士がくっついて、テープで固定する必要のないタイプの包帯が売られていますが、こちらは避けた方がいいです。このような包帯はラテックスゴムを使用しています。この素材も化学物質ですので、アトピーのような肌が敏感な方にはお勧めできません。
炎症部分を覆うのにはベタですが包帯が便利です。
肘や膝などの関節部にはサポーターやネット包帯が有効
先ほどは、患部を外界の空気などからシャットアウトするのに、包帯をおすすめしました。
しかし、包帯が使えない部位もあります。それが、肘や膝などの関節です。
動く部位に包帯を巻くと、行動が不自由になりますし、動かしているうちに包帯が外れてしまうことになります。
このような場所には、上図のようなネット状の包帯や、関節を負傷した時にはめるサポーターを使用するといいでしょう。
顔面への対処法にはマスクが便利
ここまでは、主に首から下の体に現れている炎症に対しての痛みの対処法でした。
ただ、首や顔面の痛みに対しては包帯を巻くことができません。私の個人的な意見でしかないのですが、腕や足などの炎症の痛みはなんとか我慢できます。しかし、顔の痛みや、乾燥によるつっぱりなどはどうしても我慢できません。
そこで、私が使用していたのがマスクです。
マスクをすることで、顔の半分は覆うことができます(私は顔面が大きかったので少し不足でしたが、、)。さらに、マスクから漏れる自分の吐く息が、目の付近にもあたり加湿器の役割をしてくれるので、目の周囲の症状も、比較的ですが楽になります。
この時に使用するマスクは、コンビニや薬局などで売っているような、使い捨ての不織布のものが一番いいです。小学校の時に給食の当番の時に使っていたような昔ながらのマスクでは面積が小さくてあまり良くありません。また、症状の具合によっては血や黄色い汁が着くこともあるので、使い捨てができるという点でも不織布タイプの方がいいと思います。
顔の炎症がひどく、痛みが強い時のその場しのぎの方法として、マスクをつけることはとても有効です。
麻や綿などの天然繊維のシャツを着る
さて、ここまで、腕、足、顔面などの比較的狭い範囲について説明してきました。ただ、私自身も経験しましたが、症状が体全体まで広がってしまって部分的な対処では間に合わなくなることがあります。
ここまでなってしまった時には、「アトピーが治ったら捨てる」と決めた、長袖のワイシャツと長ズボンを、包帯代わりとして数着用意しローテーションで着まわしていました。シャツをあえてワイシャツと限定したのは、症状がひどくても脱ぎ着の際に皮膚をこすることが少なく楽だからです。
この時に着る服には、麻や綿といった天然繊維100%のものを選ぶようにしましょう。ナイロンやポリエステルなどの服は、肌触りなどはいいですが、汗や傷口から出る汁などの吸水性が悪く服の内側がグチュグチュして気持ちわるくなります。また、このような化学繊維が炎症が起きて敏感になった皮膚に触れることで、症状が悪化することもあるのです。
また、サイズはゆったりとしたものがおすすめです。
このように症状があまりにもひどく広範囲に渡ってしまった場合、包帯やガーゼなどでは空気に触れる痛みに対処できません。ここまでになってしまった場合は、いっそのこと、シャツなどを皮膚の代用と考えて、すっぽりと包んでしまった方が楽なのです。
前半でも書いたように、アトピーの一番の辛さはかゆみというよりも、掻いた後の痛みや、空気に触れる感覚だと私は思います。このような状態であると、仕事や学業どころか、家の中での普通の生活すら苦しくなります。
そのような時には、とにかく患部を外界からシャットアウトして空気や外界の刺激から保護することで痛みはとても楽になります。
ただ、ここまで説明してきた対処法には注意点もあります。
私たちの体は基本的にとても怠け者です。保湿剤を塗っていたり、マスクを塗っていたりという期間があまりにも長くなってしまうと、皮膚はそのような状態が当たり前になってしまって、元の機能を取り戻しにくくなるのです。
症状がひどく痛みが強い時は仕方ありません。どのような事を言われても、辛いのはその瞬間なのですから。しかし、ある程度症状が軽くなってきたら少しずつ、皮膚を慣らしてリハビリしていくようにしていきましょう。
痛みが生じないように避けるべきこと
ここまでは痛みを和らげるための対処法について説明してきました。
ここからは痛みを悪化させないための方法についていくつか説明していきます。
汗をかきすぎないようにする
一つ目は汗をかきすぎないようにする事です。
じと〜っとかくくらいの汗であれば、保湿のような効果もありますし、皮膚に棲む善玉菌の餌になるため良いと思いますが。
滴るような量の汗だと、傷に沁みてしまったり、かゆみが増してしまい、掻きこわしてさらに痛みが増すというような悪循環になってしまったりします。
そのため、適度に室温調整をしたりするなど工夫するようにしましょう。
直射日光を避ける
直射日光は浴びないようにした方が懸命です。
もちろんアトピーの症状が重い時には、外で皮膚を露出することは中々できないと思いますが、症状が軽くなってきて夏を迎えた時などは、半袖を来て外を歩くこともあるでしょう。
しかし、紫外線を浴びすぎると肌にダメージを受けますし、皮膚の脂質が変化して過酸化脂質というアトピーにとって有害な物質を作ってしまうことになります。
すると、肌がヒリヒリと痛くなってしまったり、アトピーの炎症が再び悪化してしまったりするのです。
アトピーの肌の人は、普通の人に比べて紫外線に弱いことがあります。そのため、なるべく直射日光は避けた方が良いのです。
対症療法だけでなく根本解決も目指さなくてはいけない
さて、ここまではアトピーの炎症による痛みに対してどう対処するかについて、私が行って来たことを説明して来ました。
ただ、あくまでこれは対症療法だということを忘れないでください。
保湿剤や包帯などで、一時的に痛みに対処できたとしても、それだけでアトピー治ることはありません。
アトピーの辛さから解放されるためには、食事療法や体質改善をすることが必要です。当サイトではアトピーを改善させる食事の考え方や、体質改善(主に腸内環境改善)についても説明しています。
このページで説明した対処方で痛みをしのぎつつ、体質改善も実践していってください。
地道な方法ですがそうすることで着実にアトピーは良くなっていきます。私が生き証人です。