「顔に出るアトピーが1番辛くないですか、、?」
アトピーを経験したことがある方ならば、共感していただけるのではないでしょうか。顔に出るアトピーは本当に辛いです、、、
皮膚はガビガビ、パリパリになって空気に触れたり、髪の毛が顔にかかるだけでも、かゆみや痛みの元になります。
また、ひどくなってくると、首をひねったり、表情を崩したりすると、肌が突っ張って痛いためどうしても表情が硬くなったり、首の位置を固定してしまいます。
そして、どうしても露出してしまう部分なので、人の目も気になりますよね。特に、好意を寄せている異性などとは顔を合わせて話すことが嫌になります。
このような状態はなんとしてでも抜け出したいと思うでしょう。
このページでは、顔に出るアトピーの症状の対策、特に乾燥の対策について解説していきます。
また、乾燥とは反対にジュクジュクになってしまったときの対処法については別のページで説明していますので、そちらも合わせて読んでいただければと思います。
目次|このページでわかること
顔に出る乾燥タイプのアトピーの対処法
まず最初に、アトピーによる肌のつっぱり、ガサガサは単なる乾燥肌ではないということを理解していただきたいと思います。
アトピーの症状が肌に出てガサガサしたり、フケのように皮が剥がれ落ちたりしている状態は乾燥ではなく「炎症」なのです。
「炎症で肌がガサガサになることってあるの?」
「炎症ってジュクジュクしたり、腫れたりすることじゃないの?」
と思われる方もいるかもしれません。ですが、炎症によって肌が乾燥しているようになることもあるのです。
詳しく説明していきましょう。
私たちの皮膚の表面は「角層細胞」と言う、とても薄い幕が何枚も重なって「角層」と言う層を作っており、これによって外からの異物の侵入を防いだり、体内の水分の蒸発を防いだりしています。
角層細胞は、角層の下の「表皮」と呼ばれる層にある「ケラチノサイト」という細胞が徐々に変化しなが、表面に押し出されることによって作られます。そして、一番外側の面に押し出された角層は、やがてその働きが悪くなり、垢として剥がれ落ちていくのです。
この一連の流れを皮膚の「ターンオーバー」といい、これによって常に皮膚の状態を新しく保っているため、健康な皮膚を維持できているのです。
健康な人は、このターンオーバーの周期がとても緩やかに進みます。
しかし、皮膚で炎症が起きると、皮膚の細胞は異常を感知して「早く新しい細胞を作らなきゃ」としてターンオーバーの周期がとても短くなるのです。
(図)
その結果、大量のフケのようなものが出たり、水分の蒸発を防げすに皮膚が乾燥して突っ張ったりしてしまいます。
このように、アトピーの方の顔の乾燥は、ただの乾燥ではなく、炎症によるものであることが多いのです。そのため、多くのサイト、書籍では「まずはステロイドを塗りなさい」というようなことが言われています。
確かに、ステロイドの使用歴がほとんどなく、短期的な使用に留めると割り切って使用するならば、2~3日ステロイドを使用して炎症を抑えてから、保湿剤などに切り替えていくという選択もいいかもしれません。
ただ、当サイトでは、私がステロイドを使用して痛い目を見た経験があるため、基本的に私がステロイドを使用しないでアトピーに対処してきた方法について説明しています。
特に顔にステロイドを塗ることはリスクが大きいので、極力ステロイドは使用したくないです。
ステロイドを使用せずに顔の炎症に対処する大枠の考え方は以下の通りです
Step1:まずは対症療法として保湿をする
Step2:根本的な対策も行い炎症の元を断つ
という流れです
「え?こんなの当たり前じゃないですか?」と思った方もいるかもしれません。
そうなんです。当たり前のことです。ですが、この当たり前のことができていない人が意外と多いのです。
逆に「Step2」の根本対策を行わずに、表面的なステロイドにばかり頼って症状をこじらせてしまっている方は多いです。
では、順番に説明していきますね。
まずは保湿する
さて、アトピーで顔がガビガビに乾燥していることへの対処法として、まずはとにかく保湿です。
「脱保湿がいいよ」とか「炎症に保湿してはダメだよ」と言う方もいますが、乾燥することの辛さに対しては、やはり、まずは肌をしっとりさせたいです。
ただ、保湿剤にもいくつかのタイプがあり、なんでもいいかと言うとそうではありません。
この際に使用する保湿剤としては主に下記の2タイプをおすすめしています。
【アトピー肌におすすめの保湿剤】
- ワセリンタイプの保湿剤
- 保湿成分であるセラミドを含んだ保湿剤
それぞれの特徴について説明していきます。
ワセリン系(油脂)の保湿剤
まずは、ワセリンタイプの保湿剤です。
このタイプの保湿剤は皮膚の表面に、油の幕を張って水分の蒸発を防ぐようなものです。
要は塗るタイプのラップという感じです。
皮膚の表面に幕をはるタイプなので、皮膚の状態が悪くても刺激になりにくいという特徴があります。
また、ワセリンには「白色ワセリン」と「プロペト」との2種類があります。後者のプロペトは純度が高く、不純物が少ないため顔などの敏感な部分に塗るにはこちらが適しているかもしれません。
同様の保湿剤として、動物性の油を使用した「馬油」や植物性の油を使用した「ホホバオイル」などがあります。こちらは、人によって良し悪しがありますが、自分に合うのであれば使用してみてもいいでしょう。
保湿成分であるセラミドを含んだ保湿剤
次に説明するのが、保湿成分である「セラミド」を補うタイプの保湿剤です。
セラミドとは角層の隙間を埋めるように存在している脂質のことで、油の分子の間に、水の分子を挟み込んで留めるという性質があります。
(図)
前半で、私たちの体は「角層」によって覆われていることで、体内の水分の蒸発を防いでいるということを説明しました。ただ、実は角層が水分の蒸発を防ぐためには角層細胞だけでは不十分であり、これだけでは水分は細胞の隙間をすり抜けて飛んで行ってしまいます。
それを防いでいるのが、「セラミド」なのです。
このセラミドですが、皮膚のターンオーバーの過程で、ケラチノサイトが角層細胞に変化する過程で作られます。しかし、炎症が起きて肌のターンオーバーが早くなっていると、セラミドを十分に作ることができなくなってしまうのです。
そのため、アトピーの方はセラミドが不足して皮膚が乾燥してしまうようになります。
保湿剤を選ぶ際には、成分表示を見て「セラミド(番号又はアルファベット)」というような表示があるものを選ぶようにしましょう。このように表記されているものは「ヒト型セラミド」と言って、名前の通り人の肌にあるセラミドと同じ性質のものです。
反対に、広告では「セラミド配合」としているのに、成分表示にこのような表記が無いものは、「合成擬似セラミド」といって、人工的に作ったセラミド「のようなもの」です。
だから悪いという訳では無いのですが、単純にヒト型セラミドの方が効果が高いのと、個人的に「合成擬似」という言葉が嫌なので、ヒト型のものをおすすめしています。
また、セラミドはいくつかの種類があり、それぞれ役割が微妙に異なっています。
一種類ではなく、これらのセラミドが複数配合されているものを選ぶといいです。特にセラミド2は最も保湿力が高いセラミドであるとされているので、セラミド2は入っている物を選ぶようにしましょう。
アトピー肌には使用しない方がいい保湿剤
ここまで、アトピー肌におすすめの保湿剤について説明してきましたが、反対にアトピー肌にはあまりおすすめできない保湿剤についても説明しておきたいと思います。
【アトピー肌にお勧めできない保湿剤の主成分】
・ヘパリン類似物質
・尿素
順番に見ていきましょう。
かゆみが強くなる「ヘパリン類似物質」
まず、「ヘパリン類似物質」という成分が入った保湿剤です。
商品名だと「ヒルドイド」とか「ビーソフテン」という名前の物です。
ヘパリン類似物質はその成分の周りに水の分子をくっつける性質のある物質で、それによって保湿作用があります。
「保湿作用があるならいいんじゃないですか?」と思う方もいるでしょう。
しかし、このヘパリン類似物質には保湿作用の他に、アトピーの方には厄介な作用があります。それが、「血行促進作用」です。
要は血液の流れを良くする働きなのですが、これにはアトピーのかゆみを強くしてしまう効果があります。
お風呂に入ると皮膚が痒くなるということはありませんか。
これは温められることによって、血行が良くなって起こることで、ヘパリン類似物質は同じように血行を良くしてかゆみを強くしてしまうのです。
皮膚のターンオーバーを早くしてしまう「尿素」
保湿作用のある成分として、次に「尿素」があります。
尿素は人の汗などにも含まれる保湿成分の一つですが、「ピーリング作用」と言って肌のターンオーバーを促進する効果があります。
そのため、肌の老化によってターンオーバーが遅くなってしまっている40~50代の方にとっては、肌を柔らかくした上、保湿してくれるのでいい薬かもしれません。
しかし、先述しているように、アトピーの肌の人は炎症によってターンオーバーが加速されてしまっています。そのような皮膚に対して、ピーリング効果のある尿素を塗るのはあまり良くありません。
このように、保湿剤と言っても成分によってはアトピーに逆効果のある成分もあります。「ヘパリン類似物質」「尿素」、この2つは避けた方が懸命です。
マスクの着用
その場しのぎの方法として保湿剤の他に私は、マスクを良くつけていました。
マスクをすることで、顔の半分は覆うことができますし、マスクから漏れる吐息が加湿器の役割をするので、だいぶ楽に過ごすことができます。
この場合のマスクは子供のころ学校で給食係がつけていたようなマスクではなく、不織布の物を使用することをおすすめします。サイズも大きいですし、血などが付着しても使い捨てにできるという点がメリットです。
対症療法だけでなく原因にも対処すべき
さて、ここまで顔のアトピーで乾燥してしまうことに対する対処法についてお話してきました。
ただ、ここまでの話はあくまで対症療法です。本当にアトピーの悩みから解放されたければ、炎症の原因にも対処しないといけません。
そうでなければ、アトピーの悪化と対症療法とのイタチごっこになってしまいます。
食事を見直してみる
アトピーと食事には密接な関係があります。私たちの体を作っている細胞たちは、食事による栄養によって増殖し体を構成しているので、当然といえば当然です。
普段の食事で、肉、卵、乳製品などを食べ過ぎていませんか?
もしも、心当たりがある方はこれらの食品を控えるだけでも肌の乾燥はとても良くなります。
「マクロビオティック」という食事法を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
マクロビオティックとは、自然食の考え方の一つで、その中では、すべての食べ物が「陰性」と「陽性」という相反する性質を持ってバランスをとっているという考え方です。
そして、これらのバランスが取れた状態を「中庸」と言い、この状態であれば健康でいられるという物です。反対に「陰性」「陽性」のどちらかに傾いてしまうと健康に害があるということになります。
(図)
肉、卵、乳製品はマクロビオティックで言う所の「陽性」の性質がとても強い食べ物です。
アトピーの方がこのような食品を過剰に取ることで、体が「陽性」に傾き過ぎてしまうと、乾燥するタイプの症状が出るとされています。(ちなみに、肌がジュクジュクしたような症状は、反対に砂糖などを取り過ぎて体質が「陰性」に傾き過ぎているときに出やすいです)
そのため、顔の乾燥がひどい場合は、このような食品を摂るのを避けた方が懸命です。
腸内環境の改善
前半でアトピーの方で顔が乾燥して皮が剥けるような状態は単なる乾燥ではなく、炎症であると説明しました。
アトピーのように炎症が慢性化している状態は、体内で免疫細胞のバランスが崩れている状態です。
私たちの免疫細胞には大きく分けて「細菌やウイルスに反応する細胞」と「アレルゲン(アレルギーを起こす物質)に反応して炎症を起こす細胞」の2種類があります。そして、これらの細胞はお互いがお互いの増殖を抑えたり、働きを弱めたりするような物質を出すことで、どちらか片方が増えすぎないようにバランスを取っています。
アトピーはこの免疫細胞のバランスが後者の「アレルゲンに反応して炎症を起こす細胞」が多くなりすぎてしまっている状態です。
この免疫細胞のバランスを整えることが、アトピーを改善するためには必要なのです。では、どうすればこれらの細胞のバランスを整えることができるのでしょうか。
崩れた免疫バランスを整えるには腸内環境を良くすることが重要です。
腸には、私たちの体の免疫細胞のうち、約70%が集中して存在しています。腸内環境がいい状態であるとこれらの細胞は炎症を起こすのではなく、炎症を鎮めるように働くのです。
腸の状態を良くするためには、乳酸菌をはじめとする善玉菌を多く摂る必要があります。そのためには、味噌、ぬか漬け、納豆、などの発酵食品を意識して摂るようにしましょう。
なお、多くの方は「乳酸菌=ヨーグルト」と考えがちですが、私はアトピーの改善にヨーグルトはおすすめしません。確かにヨーグルトにも乳酸菌は含まれていますが、ヨーグルトは乳製品でありアレルギーの元にもなるため、場合によってはアトピーを悪化させてしまうことになるからです。
ここまで説明してきたように、アトピーを改善させたいのであれば対症療法だけではなく、もっと炎症の根っこの部分に対処することも必要です。
特に食事や腸内環境の良し悪しは、アトピーの改善に大きく関わるため、ぜひ実践してみてください。