皮膚は体内の水分の蒸発を防ぐだけではなく、体外に存在する細菌やウイルスなどの病原菌の侵入を防ぎ、感染症から守る働きを持っています。いわゆるバリア機能と呼ばれるものです。
しかし、アトピーの方の多くが肌の乾燥や、搔き壊しによる傷などによって、このバリアがズタズタになっていることがあります。そのため、病原菌の侵入を防げず感染症を併発してしまうことが多いです。
病原菌に感染すると、ジュクジュクとした炎症が広範囲に広がり、かゆみが増したり、痛みが生じたりしてしまいます。このような状態になったら、なるべく早くに適切な処置を行うことが重要です。
細菌感染とウイルス感染

【「細菌」と「ウイルス」で対処法が異なる】
感染症の原因として、主に「細菌」と「ウイルス」の2種類があります。両者は似ていますが実は全くの別物です。そのため対処法が微妙に異なるのです。
細菌に感染した場合の対処法
細菌とウイルスの違いは、自身の細胞を持つかどうかの違いです。細菌は細胞を持つ微生物のため、細胞を破壊する「抗生剤」が処方されます。
ウイルスに感染した場合の対処法
一方、ウイルスは自身の細胞を持たず、宿主の細胞に寄生して増殖するものです。そのため「抗生物質」は効果がありません。ウイルスに感染した場合は「抗ウイルス剤」が処方されます。
感染症を防ぐ皮膚常在菌

【菌はすべてが悪者ではない】
皮膚上に存在する菌は全てが害のあるものではありません。それどころか、私たちを有害菌から守ってくれている菌も存在します。
むやみな消毒療法を行うと、このような菌をも殺菌してしまい返って感染症を起こしやすくなってしまったり。アトピーの症状を悪化させてしまったりします。