私たちの腸の状態とアトピーには密接な関係があります。腸の状態が健康であればアトピーは改善しやすく、腸の状態が悪ければ、アトピーの症状は悪化してしまうことがあります。
この腸内環境を健康にする、または良好な腸内環境を維持する助けをするものとして「酵素」というものがあります。酵素とは体内の様々な反応を促進させてくれる物質です。
この酵素を意識して取り入れることでアトピーの改善を助けてくれます。
このページでは、酵素がアトピーの改善を助けてくれる仕組みと、摂りかたについて詳しく説明して行きます。
目次|このページでわかること
食物の消化不良がアトピーを悪化させる
酵素について説明する前に、まず最初にアトピーの悪化原因について説明します。アトピーの悪化原因の1つとして、食べた食物を充分に消化しきれない消化不良があります。
私たちは食事によって体内に摂り入れた食べ物を消化し、分解することによって栄養を吸収しているのです。
この時、充分に消化されていれば問題は起こりません。しかし、これらの食物の消化が不十分であると、私たちの腸に悪影響を及ぼすことになります。冒頭にも述べたように、腸の状態はアトピーと密接に関わっています。
腸の状態が健康に保たれていればアトピーは改善しやすく、そうでなけれれば反対にアトピーを悪化させてしまうことになります。
腸内に消化が不十分な食物が溜まっていると、やがて腐敗して有害な毒素や「活性酸素」という体の細胞にとって有害な気体を放出するようになります。
このような有害な物質には腸内で「悪玉菌」という人体に悪影響をもたらす菌を増やしてしまう原因となってしまいうのです。
私たちの腸内には、人体にとって有益な働きをする「善玉菌」、有害な働きをする「悪玉菌」、そして、善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方する働きをする「日和見菌」と言う細菌が生息しています。
これらの菌の勢力バランスによって腸内環境の良し悪しが決まるのです。
善玉菌が優勢で腸内環境が良好であると、免疫のバランスが整えられアトピーの症状は抑えられるようになります。反対に悪玉菌が優勢で腸内環境が悪い状態だと、炎症を抑える働きをする免疫細胞が活性化されません。そのため、アトピーは悪化、もしくは長期化することになるのです。
また、食物が腐敗して放出される活性酸素には、腸の壁面の細胞を破壊してしまう作用があります。
私たちの腸壁は網の目のような構造をしていています。この網の目構造によって、消化が不十分な食物が体内に入らないようにブロックし、充分に分解された栄養素だけを吸収するようにコントロールしているのです。
活性酸素などによって、この網の目構造が破壊されてしまうと、消化が不十分な物質が傷んだ網の目から体内に侵入してしまうことになります。すると、体の免疫システムがその物質を異物と判断してしまうのです。
この反応が、皮膚組織で起こるとアトピーの症状を引き起こすことになります。
具体的な例で言うと、「動物性のタンパク質」があります。タンパク質は消化されると「アミノ酸」と言う極小の物質になります。この状態にまで分解されると体内で異物として認識されることはありません。
消化が不十分であると、アミノ酸がいくつも繋がった「ポリペプチド」と言う物質になります。腸が健康であれば、アミノ酸が複数繋がったポリペプチドは大きすぎるため、網の目を通過できず体内に入ることはありません。
ところが、先に述べたような理由で腸壁が傷んでいると、このような大きな物質も体内に取り込んでしまいます。すると、ポリペプチドは体内で異物と認識される特性があるため免疫システムによって攻撃されてしまうのです。
私たち人間の体は、特にこの「動物性タンパク質」の分解が得意ではありません。そのため、肉を中心とする現代の欧米型の食生活をしていると、腸内環境が悪化して、アトピーを悪化させやすくなってしまうのです。
このように、食べ物を充分に消化できないと、腸内環境を著しく悪化させてしまいます。そのため、免疫のバランスが崩れてしまったり、異物が体内に入るのをブロックできないようになったりして、アトピーを悪化させる原因となってしまうのです。
酵素の働き
次に本ページの主題である酵素について説明していきます。
すでに冒頭で簡単に説明したように、「酵素」とは体内で様々な科学反応を促進させる物質のことです。
この化学反応とは、主に体内の栄養素をエネルギーに変えて体の活動のもとにしたり、新しく細胞を作ったりする「代謝」と、そして、食事によって体内に取り入れた食べ物を分解する「消化」があります。
このページで取り上げるのは、後者の消化を担当する「消化酵素」です。
また、これらの酵素は体内で作られる「生体酵素」と、食べ物から摂り入れる「食物酵素」の2つで構成されています。
先に説明したような欧米型の食生活を続けていると、体内でこれらの酵素が不足してしまいます。その理由が下記になります。
【体内の酵素が不足してしまう理由】
- 本来消化に不向きな動物性食品(タンパク質)の摂りすぎで、酵素が消耗している。
- 生の野菜、果物、発酵食品など、消化酵素を豊富に含んだ食品を食べなくなった。
- 加工食品や、高熱調理されたものばかりを食べるようになったこと
すでに説明しているように、人の体にとって動物性の食品は消化が難しいものです。にもかかわらず、現代の食生活は肉類が圧倒的に多いです。体は過剰に入ってくる動物性食品を一生懸命分解しようとして、全力で酵素を分泌して消耗してしまっているのです。
また、酵素は非常にデリケートな物質であり、温度やph値(酸性度の値)によって簡単にその働きを失ってしまいます。
現代人の食事は高温で調理した揚げ物や、加工食品などばかりを食べて、野菜などの、酵素がたくさん含まれた生の食品を食べる量が極端に減っているのです。
子供の頃に、食卓に並ぶおかずの中で、大好きな肉ばかりを食べていたら親に注意された経験があると思います。
当時の大人たちが口を揃えて言っていた「肉の3倍野菜を食べなさい」はとても理にかなっていた食事だったのです。
このように、消化酵素にはその名前の通り、体に摂り入れた食べ物の分解を促進させる作用があります。しかし、現代の食生活では、この酵素が圧倒的に不足しているのです。
そのため、腸内環境の悪化を招き、アトピーを悪化させる原因となっているのです。
酵素を上手に摂るには
さて、先の説明で現代人の食生活では酵素の量が圧倒的に不足しているということを説明しました。
では、どうしたら酵素を充分に摂ることができるのでしょうか。
酵素を豊富に含む食品として、生の野菜や果物があります。これらの中には特にタンパク質を分解してくれる酵素が多く含まれています。
特に消化酵素が豊富なのが、大根、レタス、パイナップルなどです。
焼き魚に大根おろしを添える、酢豚にパイナップルを入れるという食べ方は、実はとても理にかなった食べ方だと言えます。
この酵素ですが、摂り入れる際に注意点があります。それが、火を通さない事、切ったり皮を剥いたりした時は速やかに食べる事です。
酵素は熱に弱く、また、酸素に触れるとすぐに効果を失ってしまうという性質があるからです。ですので、大根おろしを大量におろしたり、皮をむいた果物を冷蔵庫に保管していても意味がありません。
【酵素を多く含む食品】
大根、レタス、わさび、りんご、パイナップル
上記で説明したような食品を意識して普段の食事に摂り入れる事によって、食べ物の分解を助け、腸内環境の悪化を防ぐ事ができます。それが結果としてアトピーの改善につながるのです。
乳酸菌を摂る
さて、生野菜や果物を食事に摂り入れる事で、体に不足している酵素を補い、腸内環境を良好に維持することができると説明してきました。
しかし、酵素を補うにはもう一つ方法があります。
それが、腸内の善玉菌を多くするということです。
腸内細菌、特に善玉菌には酵素を作り出す働きがあり、その酵素の種類は3000以上にもなります。そして、腸内細菌の合成する酵素には人の体では作り出せないものもあります。実は私たちはこの腸内細菌と共生することによって、食べ物を充分に消化できているのです。
このように、私たちの消化器と同じように働くことから腸内細菌は「第2の臓器」とも呼ばれています。
食べ物で補給しても酵素は、使われてしまえばおしまいです、しかし、腸内に善玉菌を増やすことで長期的に酵素を作り出してくれます。
では、善玉菌を増やすにはどのようにしたらいいでしょうか。
答えは簡単であり、外から補給するか、腸内にいる善玉菌に餌を与えて繁殖させるかの2通りです。
まず、一つ目の外から補給する方法ですが、単純に乳酸菌を多く含む食品を摂り入れることです。この時、多くの人が「乳酸菌」と聞いて「ヨーグルト」を連想します。しかし、それは間違いです。
ヨーグルトには確かに乳酸菌が多く含まれています。しかし、市販のヨーグルトのほとんどが「甘い」です。つまり、砂糖が含まれているということです。
砂糖は悪玉菌のエサになってしまいます。そのため、善玉菌を補給しようとヨーグルトを食べても、悪玉菌も育ててしまい、効果が半減してしまうのです。また、ヨーグルトは動物性タンパク質です。同じ種類の動物性タンパク質を連続して長期間とりつづけると、そのタンパク質に対してアレルギーをもつことがあります。
前半で説明しているように、動物性タンパク質は基本的には人の体に適していません。そのため、ヨーグルトを食べ続けると、かえって腸内環境を悪化させてしまう事になります。
このように、アトピーの人に対してはヨーグルトは不適切であることがわかります。
では、どのような食品がいいのでしょう。
具体的には、味噌、ぬか漬け、キムチ、納豆、など発酵食品が適しています。 これらの食べ物には、乳酸菌が豊富に含まれています。このような発酵食品を取り入れることで、腸内に有益な細菌を摂り入れることができます。
次に、すでに腸内にいる善玉菌を育てるという方法です。そのためには、善玉菌のエサになるような食品を多くとる必要があります。それが、オリゴ糖、ラクトフェリン、食物繊維などです。具体的には、ごぼう、玉ねぎ、はちみつ、バナナ、大豆などです。
体内で酵素を増やすためには、腸内で善玉菌を増やすことが効果的です。酵素は使用されてしまえばおしまいですが、酵素を生み出してくれる乳酸菌を増やすことで、長期的に酵素を補ってくれます。
しかし、腸内細菌を増やすのに良いとされる食品について説明してきましたが、正直全てを食事で補おうとすると大変な労力が必要になります。そのため、続かなくてすぐにやめてしまう事になるのです。
そのような場合は、「サプリメント」の使用が有効です。サプリメントであれば、一度に多くの乳酸菌が取り入れられますし、簡単なので継続しやすいです。
私たちの腸は、乳酸菌を取り入れても、新しい菌はすぐには定着しません。そのため、ある程度の期間とりつづける必要があります。この点から考えても、続けやすいサプリメントいう手段は有効だと言えます。
乳酸菌サプリメントの良いところは、薬ではないですし、自然由来のものですので、ステロイドのように副作用の心配がないという事です。このように、乳酸菌を補うためにサプリメントを使用することはとても有効な手段です。
まとめ
ここまで、腸内環境を整備してアトピーを改善させるためには「酵素」が重要な働きをする事について説明してきました。
不足しがちな消化酵素を補う事で、腸内環境の悪化を防ぎ、アトピー改善を助けてくれます。
普段の食事から酵素を摂る事を意識してみましょう。